「ごめんごめん。続けて」

「あ、はい。でも、クラスが決まってちょっと経ってから、私の成績がいまいちなのがバレちゃって。私は、どうせすぐに分かることだし全然気にしてなかったんですけど、それから嫌がらせみたいなものが始まって」

最初は、物を隠されたり。机に落書きされたり。
でも、徐々にエスカレートしていって…
その先はもう、思い出したくもない。

「あぁ、なるほどね。あの高校さ、頭良い奴ばっかりだもんね。そのぶん、こう…なんていうのかな、歪んでるっていうのかな。勉強しすぎて頭のネジぶっ飛んでるバケモンとかいるんだよな~ずいぶんと辛いことがあったんだね…」

「あと、成績も良くないくせに先生たちを騙して霜月さんに近づいた、とか変な噂まで流れていたりして」

「うん。それは、すごい分かる。噂の独り歩きマジで怖い。ぞっとするよ、ホントに」

彼は、あ~怖い怖いと言って両肩をさすっていた。

「じゃあ、美織さんの依頼内容はそれ?いじめっ子を撃退して欲しいってこと?」

「それも、あるんですけど」

しどろもどろしている場合じゃないのに。
だって。違う、そうじゃないんだ。
それだけじゃ、ないんだ。
本当に話さなきゃいけないことを、まだ吐き出せていないのだから。