「仕事の依頼だったんだね。気付かなかったや、ごめんね?俺さ、よく鈍いって怒られるんだよ」

まぁ大目に見て欲しいな~。なんて言って、彼は紅茶を淹れてくれた。

「俺は神城 悠希(かみしろ はるき)と言います。改めてよろしくね。俺高2なんだけどさ、たぶん歳近いよね?どんな風に呼んでくれても良いんで。あ、でもアオハルさんはちょっと恥ずかしいかな。うん。アオハルさん以外なら何でもいいよ」

案内された場所は廃ビルの3階。
他の階は使われていないようで、異様なほどに静寂に包まれていた。そんな中、私は彼と向かい合って座っている。

色白な肌にダークブラウンの髪。生え際からして、たぶん地毛だ。くせっ毛なのか、ものすごくぴょんぴょんしている。なのにそれが様になっていて、なんだか…

かっこいい。

整った顔立ちをしているし。私は確信した。
この人、めちゃくちゃモテるんだろうな。
…今はそんなこと考えてる場合じゃない!

「私は、佐々木 美織(ささき みおり)といいます。えぇっと、高1です」

「うん、美織さんね。それで、どーしたの?よく俺のことを見つけられたね」

「本当にたまたまなんですけど」

本当に奇跡みたいだ。会えるわけないと思ってた。

「へぇ、だとしたらすごい強運の持ち主だね!」

「…はい。だから、突然すぎてまだ飲み込めてないというか」

「そうだよね。ゆっくりでいいから、ちょっとずつ話してもらえるかな?」