「あ、あの、アオハルさんですよね!?」
思い切りその人の目の前に飛び出してしまったけれど、彼は全く驚かなかった。
まるで、そうなると予測していたみたいに。
「う~ん…難しい質問だね。半分正解ってとこかな。ところでさ、あんた誰?」
その人の言っていることはよく分からないけど、本当にアオハルさんなのかな…
人違いとか洒落にならないし。
どうしよう…何て言えば…
「何か用があって来たんだろ?だからアイツが帰るまでずっと待ってたんだろ?」
やっぱり。気付いてたんだ。
何か言わなきゃ。
そう思えば思うほど、声が出なくて。
独りで勝手に焦って、結局何も出てこなくて。
「…?どした?」
アオハルさんがうつむいた私の顔を覗きこむ。
ぽたり、と。
コンクリートの地面に丸い跡ができた。
「…助けて、ください……」
どうしようもないくらい、私は弱い。