「俺の知り合いにさ、今の美織さんに似た状況だった子がいてね…なんか、思い出しちゃって」

すごく、寂しそうな眼をしていた。
儚げというかなんというか、すぐにでも涙がこぼれてしまいそうな、とても見ていられない、そんな姿。悠希さんが今、誰を思い浮かべて、何を思ってどう感じているのかはわからないけど、たぶん悠希さんにとってすごく大切な人だったんだろう。

それだけは、よくわかった。

ゴンゴン!と、部屋の奥から音がした。
昨日のとはちょっと違う感じの、机を叩いたような音だ。

「…うん。ツッキー、わかってるよ。飯だろ?でもさっき食べたばっかりだし。おまえ、太るぞ!」

そして最後にこう付け足したのだ。
「ありがとな、ツッキー」と。

「さて、じゃあ気を取り直して作戦会議だ」

「はい」

作戦といっても、どうするんだろう?

「まず、ストーカーについて。詳しい正体はまだ調べている途中だけど、どうして美織さんが狙われたのかわかったよ。今回の場合、相手の正体はそこまで重要じゃないんだ。これを見て」

悠希さんは自分のスマホの画面を見せてくれた。そこには露出が激しめな女の人の写真とともに自己紹介が記されていた。

「かんたんにいうと、出会い系サイトに似た感じの掲示板だね」

すると彼は何やら操作を始めて最後に「絞り込み」と書かれたボタンをタップした。


…何これ?どうして。

え…うそ。なんで?え…なにこの写真…


これって──