「それで?例のストーカーの調べはついたのか?」

「あのなぁ…いくらなんでもそんなにすぐには…」

やはり時間が必要なようだった。
ストーカーの特定には、まだ時間がかかりそうだ。

碧人のそんな僅かな表情の変化に気付くなり、悠希は頬を緩めた。

「まったく!俺を誰だと思ってんだよ。仕事の速さなら俺に勝てる奴はいねぇよ!」

そう豪語するなり言ったのだ。

「もう調べはついてる。あとは戦略練ってぶっ叩くだけだ」

自信たっぷりな悠希の表情に碧人は安心したようだ。

「なんとかしてやりたいもんな」

そう碧人が意気込むと、悠希はあれれ?と首を捻った。

「あれ?碧人、そんなにあの子と親しいってわけじゃないよね?誰かに肩入れするなんて、めずらし~もしかして好みのタイプだったとかー?」

「……」

しばらくの間、沈黙が続いた。

「えっ…あ…え?そ、そういう?え、あーマジ?まじすか碧人くん…」

悠希は「え?あっ…え?」をずっと繰り返している。よっぽど驚いたようだ。

「おっ…おう。そ、そういうことなら、まぁ俺も、応援すっけど、さ…まじか。マジなやつか、これ」

「そんなに驚くか…?」

「いやぁ、碧人ってそういう、恋愛とかさ、あんま関心ないと思ってたから。確かにかわいいよね、美織さん。飾らない感じで素直っぽい」

「悠希の好みとは、ちょっと違うよな」

「うん。俺のストライクゾーンには刺さらなかった。ほら、俺はいつも言ってるように思わず守ってあげたくなるような子がタイプだから!」

「ピンと来ねぇよ」

「そーかぁ?分かりやすいだろ。って、そんなことは今どうでもいいんだよ!戦略練るぞ!」

「お、おう」

かくして、2人による作戦会議が始まったのであった。