「ちなみに、なんだけどさ、その結人くん?ってサラサラの黒髪で、おっちょこちょいでまっすぐで、世話好きでお人好しなサッカー少年だったりする?」
え…?なんで分かるの?私、喋ったっけ?
いやいや。何も言ってないはず。じゃあ、なんで?……まさか。
「結人のストーカー、だったんですか…!?」
「ち、ちがうちがう!なんでそうなるの!?たまたま!たまたまだよ!」
いやいやいや。たまたまって…
それにしては……
「やけに具体的ですよね」
「い、いいから!もう帰りな!次来るときはその少年も連れてくるように!いいね!?」
ばたん。
閉められちゃった。
というより、追い出された?
なんであんなに焦ってたんだろう。
私、何か変なこと言ったかな。
そうだ。忘れないうちに!
そう思って、結人にメッセージを打つ。
『明日、空いてる?』
まもなく返信が届いた。
『ごめん、明日部活。なんかあった?』
そっか。駄目かぁ。どうしよ…
連れてこいって言われちゃったけど。
土曜日でも部活かぁ。
『ならいいや、部活頑張れ!』
跳び跳ねるネコのスタンプとともに送信して、私は帰路についた。