話しながら歩いていると桜が見えた
昨日も今日も寒かったから
まだ意外と咲いてなかった
私は日当たりが良くて
1番咲いている桜の木の下に立った
空を見上げると
私の描きたかった風景が広がった
満開の桜が
青空に映える
「いい色…」
「いい絵、描けそう?」
先生の声がしてハッとした!
先生がいるのを忘れてた
それくらい夢中になって
私は桜と空を見てた
「夢中になって空見てるから
首、折れると思った」
先生に笑われた
「空、好きなの?」
「はい、好きです」
「美術展に出したのも空だったもんね
オレも空の絵、好き」
「…先生、オレって言ってる」
「そぉだった?
僕、そんなこと言ったかな?」
「今、わざと言った
僕って」
ふたりで笑った
笑いながら何かを感じた
ん?
雨…?
私は掌を空に向けた
ポツン…
ポツン…ポツン…
「…雨」
雨は一気に降ってきた
空は青いのに…
天気雨
「わぁ!雨!」
私は両手を広げた
「綺麗〜」
小さい時に見た以来だった
天気雨と桜のコラボが綺麗だった
私は雨の下
桜を見上げた
春の柔らかい光と
優しい雨の下
まだ咲いたばかりの桜は
強く上を向いて開いてた



