桜の花弁が先生の肩にのった



「先生、仕事忙しくない?」

花弁をはらいながら私は聞いた



「遅い日もあるけど
会いたければ、会えるよ

仕事が忙しくて会えない…って
言い訳で…

あの時
もぉ立花さんのこと好きだったのかも…」



あの時…



「鈴木先生、ですよね…
先生の元カノ」



「うん…未來(みき)と話した?」



「はい…
先生から見せてもらった絵の人だ…
って、わかりました」



「立花さんに言われたように
好きだったら、会いたいし…

仕事忙しくて会えなかったとしても
好きだったら別れなかったと思う…」



「私がいなかったら…
鈴木先生と別れてなかった?」



「いや…どぉだろう…」



「鈴木先生
まだ先生のこと好きだって
言ってましたよ」



「うん…別れる時も言われた

でも、去年、結婚したって聞いた
だから、よかったんだ…」



「鈴木先生、結婚したんですね

先生も、結婚したいですか?」



私の質問に先生は笑った



「そんなこと、
彼女に聞かれると思ってなかった」



「彼女…

嬉しいけど
なんか、まだ、実感ないです…」



私は恥ずかしくなった



「だよね…
オレもまだ馴れない

隣に制服じゃない立花さんがいるのとか…

なんか、照れる…」




夕日のせいかな…

先生の顔が少し朱く見えた