玄関で待ってると先生の車が来た



私は先生に言われたとおり
後ろに乗った



「お願いします」



「はい」



「なんで、後ろなんですか?」



「生徒乗せるの、あんまりよくないかな…」



「そうなんですか?」



先生はウインカーを出して左に曲がった



先生はメガネをはずした



「メガネ、はずして見えるんですか?」



「見えてなかったら、ヤバイでしょ」



なんか学校にいる先生と
少し違った



「コレ、伊達メガネ
教師ぽく見えるように…」



「確かに…」



「納得するな!」



「話し方も変わるんですね」



話してるうちに駅に着いた



「ありがとうございました」



「ハイ…」


先生が私にさっきの口紅を差し出した



「え、いんですか?」



「うん、昨日の償い
明日は晴れるといいけど…」



「じゃあ明日、傘返しますね」



「晴れてる日に返すとか…」



「じゃあ、さようなら」



「ハイ、気を付けて…」



私のリップは
まだ先生の温もりが残ってた


私は握りしめて
先生の車から降りた



「ありがとうございました」



ドン…



いつの間にか雨は止んでいて
空に星が出てた