何度鳴らしても、先生は出てこなかった
先生…
なんで?
好きじゃなかった?
私のこと
「水嶋さんの、生徒さん?」
後ろから女の人の声がした
アパートの大家さんだった
前に見かけたことがあった
70代ぐらいのお婆ちゃん
「こんにちは」
「こんにちは
水嶋さん、今日午前中に引っ越したよ」
引っ越し…?
「どこにですか?」
「聞いてなかった?
私もどこかはわからないけどね
ご実家に戻るって話してたよ」
先生の実家…
どこかわからなかった
私はしゃがみ込んだ
「大丈夫…?
カギ開いてるから
少し中で休んで行って」



