私の唇に先生の唇が重なった



ーーー



「こんな、味」


耳元で先生の低い声が聞こえた




一瞬息ができなくなった


息をしたら
鼓動が一気に早くなって
全身に血液が流れる感覚がわかった



ドキドキして
声が出なかった




「ごめん、送る」



嫌われた…




「…自分で帰れます
先生、お酒飲んでるでしょ…」



なんでだろ…声が、震える…



「飲んでない

全部、嘘…
飲んだって言ったのも
偶然会わないのも
全部、全部、嘘…

オレ、サイテーでしょ
教師って、こんなもんだよ

嫌いになった?」




なんで…先生

なんで、私に嫌われようとするの?



なんで…?



なんで、私のこと嫌いなのに

キスしたの?




「…好き…

先生…好き…

先生に嫌われても
私は、先生を嫌いになれない…」



飲み込んだ唾は微かにタバコの味がした



先生、好き…



私は、嘘じゃない