「先生って
どこの美大だったんですか?」


私も卒業したら美大に進学したかったから
参考に聞いた



先生が名前を出した美大は
芸術を学んでる人なら
誰でも知ってる有名大学だった



「へー、すごい!
私もそんなすごい大学行けたらな…」



先生と話しながらも
外の桜が気になった



青空が翳ってきた気がする

夕方が近くなった



30分は経ったけど
誰も来る気配がない



「先生、誰も来ないから、
私、行っていいですか?」



「あー、ごめん
足止めしたね…
色、だいぶ変わっちゃったね…」


先生は窓の外を見て言った



先生も気付いてた

私がさっきの色で描きたいと思ってたことを



「あとは僕が残ってるから大丈夫
何人か入部してくれるといんだけどな…」



「本当に描きたい人なら
見学なんかしなくても
入部すると思う…」


私はボソリと言った



「僕もそぉ思う…」


先生は、わかってた



「まぁ、僕がもっとイケメンならな…
見学なしで、確実に入ってくるけどな」


先生はそう言って笑った



私も笑った



「あー、ごめん、また足止めした!」



「大丈夫です
今日はデッサンだし
明日も晴れるといいな…」



私は窓から空を見た



「うん…
明日晴れたら
僕も一緒に見に行っていいかな?」



「いいですよ
じゃあ、戻ってくると遅くなりそうなので
私はこのまま帰ります
さようなら」



「さようなら、また明日」



私は美術室を後にした