「この子なんて言うんですか?」 咲智はしゃがんで聡介の隣にいる目がクリッとした女の子の髪を撫でた。 子供だからか、すごい髪がふわふわした手触りで、咲智は年の離れた弟のことを思い出した。 もう、その弟もこの春中学校に入学するのだけれど。 「マノン。舞う音って書いて、マノン」 聡介は丁寧に漢字まで教えてくれた。 「舞音ちゃんかあ。私、咲智。このお兄ちゃんの後輩なんだ」 「こーはい?」