放課後 【5/11】

今日は居る…そんな気がする。


名前も知らない君と話してみたい。
そう思ったのは1年前の春。

クラスにもやっと慣れてきて、
3人とも仲良くなり始めた頃。


普段より1つ遅いバスに君がいた。

難しそうな小説を読むその人の横顔があまりにも綺麗で…心がきゅんってなった。


話してみたい、そう思った。


それからはバスを1本遅らせて何度も話しかけようと試みたけど…

1年経った今でも話しかけられないんだから、
私って本当に意気地無しだ。


君と同じクラスだったらな…。
毎日そんな事を思っている。


でも、同じクラスではないから。
私は君の名前も知らないから。
だから勇気を持って話しかけなくちゃ。


今日こそ図書室に来てないかな。
そう強く願い図書室のドアを開けた。