用事があるなんて嘘だ。
最近体調不良が続いているから、
病院に行くことになっている。

今まで1度も風邪になったことがない俺が、何日も寝込むのは何かおかしいと、親が思ったそうだ。

そんな夏バテだろうし、心配すること1ミクロンもないのにと不満だらけだが、すぐ家に戻ってこいと言われたため、愛梨の様子を伺うことも出来ない。後でメールするか。

「ただいまー」

「あんた、早く病院行くわよ」
「早く着替えて!」

全くせっかちなお母さんだ。
こんなに急がなくても病院は逃げないが…喧嘩にまで発展させたくないので、素直に返事をする。
「わかった」

にしても、病院言っても風邪ですねとか、夏バテしてるようですねとか言われて、薬渡されるだけだろ。
こんなんで病院来んなとか言われそうだな。
考えると恐ろしいな(笑)
まあお母さんの手にかかれば、そんなこと言う医者なんか何ともないのだろうが。無茶しないでほしいもんだ。

お母さんは昔から堪忍袋が小さいらしくすぐ切れる。昔こんなことがあったなと考えながら支度をしてると、お母さんの声が…
「早くしなさい!!」
やべっ、結構切れてんぞ。

「すぐ出る!」
こういう時は反論しないのが一番の善良のやり方。