「 … そっか、アンタ達は
奴に直接会った事は無いのか 」
「 ママ、奴って誰?
にしても…
あのボクは、やっぱり芸能人よねえ
あずるの横に立ってても遜色ないわぁ 」
「 ――― あ、あの…
それより青山さんは、仮装しないの…?
サイズ気にしてるなら、場所が場所だし
イロイロ揃ってるから平気よ…? 」
「 うわっ!何よミナコ!
妙にしおらしいじゃないの〜〜
普段なら問答無用で
気に入ったオトコがいたら
ソッコーで部屋に引き入れる癖に! 」
「 ちょ…!余計な事言わないでッ!
しかもそれはサナエの事でしょっ
ファ…ファンなんだから仕方ないも… 」
「 やだやだッ!
思春期の小娘みたいに泣かないのッ!
も…握手くらいして貰いなさいッ 」
「 い…いいわよ
こんな汚いオカマに触っ…
――― い…いいの…?!
う…ぅわぁああ!か…感激だわ…っ
やっぱり手、大きい…!
… あ… あたし…ッ あたしね?
"CheaーRuu"の曲の中でも…
あ、も、もちろん全部好きよ?!
『Dancing Rose』とか、夜のお嬢達の
叫び系泣きソングとして定番だし…!
でもあたしね?
特に好きな歌詞、幾つかあって…
見たらね?
それは全部、青山さんのだったの!
だから…だから… 」
――― 音楽をやっていて
素直に嬉しいのは、こういう瞬間
「 さ、その辺にしときなさいよアンタ達
ここには皆、現し世を忘れて
遊びに来てるんだからね 」
「 そ…そうね…ッ
ごめんなさい!」
「 ―― ありがとうございます 」
「 こ、こちらこそ…! 」
「 そろそろ十時か
あずる!! マサヤんとこ行くんでしょ?」
「 ぉぉーーっ! 」


