「 お待たせしましたぁ!
次の方、どうぞー! 」
「 あら貴女、可愛いじゃなあい
あたしもこんな感じに
してもらおうかしらぁ 」
「 あんたはガーゴイルで充分よッ!」
「 キーーッ!何ですってぇ?!
あんたなんかね!
あんたなんか、ガラパゴスの亀よッ!!
全身くすんだ緑にでも
塗りたくられるがいいわッ!」
「 首はどうすんのよ!
あたしあんなに延びないわヨッ!! 」
次の着替えを待つ人達と
入れ代わりで更衣室から出て来たのは
黒い三角帽子とマントを羽織り
キャンディーで出来た杖を持つあずると
「 あらアンタ!
悪女が魔女の格好しても
仮装にならないじゃ ――…!」
あずるの後から出て来た姿に
オミヨさんも自分も絶句する
「 ――… 遠矢
貴方 美形だけど
微妙に女装、似合わないわね
あずる、向こうでお菓子配ってるから
二人で一緒に貰っておいで 」
「 はーい!トオヤ、いこ!」
灰谷は銀、腰まであるウィッグ
全身黒のドレスコート姿で頷くと
あずると一緒に
入口近くのカウンターバーまで
ブーツの音を鳴らしながら移動した
「 あらママ!そうかしらぁ?
充分キレイに仕上がったと思う〜
それに女装にしたのは
彼の御所望だったからだし〜 」
「 まぁ、ママの意見もわかるわ
細身だけど、オトコっぽいのよねあのコ
… っていうかぁ
"Chea"の灰谷クンってのは判ってるけど
別にどっかで見た事あるような… 」
「 あらッ!あんたもそう思ってたの?
あたしも途中からそう思っ…
―― ああああ!!わかったワ!!
あのコ、ばっちりメイクすると
何とか言うビジュアルバンドの…
何だっけ…ホラホラあれよ!
最近メンズ化粧品のCMにも出てる…
"ハルト"に雰囲気クリソツなのヨッ!!」
「 あ〜〜〜ッ!!それだッッ!! 」


