屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜





「 リュウジー! こっちだよー! 」


二丁目通りは
連なるランタンのオレンジ


ネオンの下の呼び込みや
腕を組む恋人達の波を抜けて


派手な看板が並ぶ中
あずるの先導で降りて行った階段の先は
落ち着いた雰囲気の、黒いドア


しかしそれを開いた途端に
賑やかな笑い声と、煙と花の香りが広がる




「 いらっしゃあい!!
今宵はハロウィンの宴!
我がバケモノ屋敷へようこそ〜!! 」


「 オミヨさんっ!こんにちはーっ!! 」


「 こんにちは、お久しぶりです 」




両手を拡げ、満員の店奥から現れたのは
髪を高くあげ、長く黒い睫毛
出会った時とは別人にも見える
黒いドレスを着た、初老の"婦人"


「 一応チェックを
ケータイに送られた、招待状をどうぞ 」


「 はい! 」


婦人の横に付き添うのは
執事姿をした、案内役の男性


「 携帯で案内状とか
世の中も変わったわよねえ
どうもアタシはニガテだわ、こういうの 」


周りに立つ、仮装姿の客達が
それを聞いて、明るく笑う


「 そうそうあずる!
今夜はここに載ってるお店
仮装してると、一杯ドリンクがフリーなの

しばらくして飽きたら
お菓子貰いに廻ってらっしゃい 」


「 うんっ! 」


「 て事で、着替えておいで!!
猫娘、フェアリー、魔女…
カボチャ頭や吸血鬼のマント
古今東西取り揃え、何でもあるわよ!! 」