「 … 明日から、俺の家に来ない? 」


「 え…トオヤのお家? 」


「 実家、来た事ないだろ

いま親父もお袋も居ないし
もちろん、青山さんも一緒にね 」


「 …お留守番 ひとりで淋しいの? 」


「 ――… ち、違っ… 」


あずるに覗き込まれた灰谷は
真っ赤になってたじろぎ
そんな珍しい姿を見た梅川さんも
楽しそうに、大声をあげて笑う




煙草を持って外へ


そして同時に、鳴らし続けているのは
例のボディーガード達の携帯番号


仕事で直接会う事は出来なかったが
二人で一緒に暮らすと
あずるの父親に電話をした時

後日、この携帯番号が
スラストファー氏の署名と共に
バイク便で届けられた




一日三回のコール
必ず低い声の、英語アナウンス

対話は一切無く 留守電になっていて
そこに手紙に指定されていた
俺しか知らない数字を入力する




しかし今、連絡が取れない ―――


「 トオヤ
気を使ってくれてるのかもだけど
私は充分、この生活楽しいよ 」


「 …だって
出かけるにしたって、近所だけだろ 」


「 トオヤだって
実家から学校遠いんでしょ?
それに、クラゲいるし… 」


「 ……… 」




真夜中になって、皆 眠る


ボディーガードとは
相変わらず、連絡取れず