灰谷は階下へ降り
すぐにシーツは畳み入れた


「 あれ? トオヤは? 」


「 ちょっとコンビニに行った 」


「 そか… 」




台所へ戻ったあずるを確かめて
それとなく部屋の中を確認する


さして広くは無いが

――― 『誰か』が入れる様な場所




クローゼット


ベットの下

洗面所、風呂場




「 ―― どうした 」


梅川さんが 擦れ違い様に
耳の横、小声で問う




「 …この屋上に『誰か』が入りました 」


「 ―― いつ…?! 」


「 おそらく、灰谷が入って来た時に 」


「 …入口には監視カメラがあるし
全部の部屋にもセキュリティが入ってる

誰か認証してない人間が入って来れば
警報が鳴る筈なのに… 」


「 灰谷が今
下のカメラ、確認しに行ってます 」


「 … 何があった…? 」


「 干してあったシーツに
赤いスプレーで落書きをされてました 」


「 ――― ラクガキい?!

… っとと
ぃっ… 一体、なんて…?!」




「 "死ね"  それだけです 」




「 ―――…

… 何なんだよそれ… 」