午後


水族館行きは、結局中止




「 あのね…えと…

…私だけじゃなくて
リュウジも… …しよ…?」


「 本当はまだ、結構痛いんだろ…? 」


「 …痛いだけじゃないって言った… 」




キス


汗で張り付いた 黒いTシャツを脱ぎ捨て
両手を延ばして来るあずるを抱きしめた




「 …? 」


背後から、一瞬だけ 音 ―――


ベルトに指を掛けながら振り返ると
ソファの向こう、テーブルの上で
あずるの携帯が点滅している




「 …留守電にしてたかも 」


テーブルの上から取り、手渡すと


「 ――― 先生だ 」


「 先生?」


「 うん、梅川先生 」