ガラス扉を開くと風
新宿の夜景
高いフェンスの向こうは
すぐに隣のビル
足元を照らすのは、四方から向けられた
小さなスポットライト
敷地には、花の咲いた鉢 プランターや
七人のこびとの陶器人形が置かれていて
値札がついているから
これはこれで買えるらしい
間隔を置いて設置されたベンチには
何組かのカップルが座っている
「 マンハッタンの色と
やっぱり違うね… 」
「 オレンジがかってるな 向こうは 」
「 うん… 」
「 寒くないか? 」
「 抱っこ 」
「 ――― おいで 」
小首を傾げて 甘えるしぐさ
顎を持ち上げ、キスを繰り返していると
ライダースの下
背中に回されたあずるの指が
時折、ピクンと動いて
唇からは 小さな吐息が漏れる
しばらく繰り返していると
背中のシャツを強く掴んで
そのまま ―――
一瞬、指に力が入って
一気に体の力を抜いた
伝わって来る 激しい胸の動悸
「 声… 」
「 ん…?」
「 他の人に…聞こえちゃったかな… 」
「 …他の人達も
お互いの事しか見てないだろ 」
「 …うん 」


