エプロンを買った。
次の目的地は屋上
エスカレーターに乗る
「 あ…あのね?トオヤがいる時は
ぜーったい、だ、だめだからね?! 」
「 何を 」
「 な… なにっ て… 」
あずるは顔を真っ赤にさせて、下を向く
手を握ると
恥ずかしそうな表情で 俺を見た
「 何で叩くんだよ 」
「 だ… だって今
ニコッて笑ったよ?!ニコッて! 」
「 あずるが可愛いから
――― ほら、着いたぞ 」
腕に噛み付かれながら歩く最上階は
屋上と陸続きになったペットショップ
場所柄なのか
鳥や、猫などはいなくて
海と淡水の魚たちが
様々な水槽で、鮮やかに泳いでいる
「 あれ…
池袋にクリオネ来てるんだ 」
あずるの手には
早速クラゲの餌が持たれていて
もうひとつは、水族館のチラシ
「 明日、見に行くか?」
「 ――― うんっ!!」
あずるは行進しながらレジへ
品物を受け取ると
一目散に、俺に向かって小走りして来た
「 買った!」
「 どうする?もう帰るか?」
「 えっとね、さっきトオヤ
学校出る時メールするって
言ってたんだけど、まだだから… 」
そして視線はレジの横
群青の空が拡がる 扉の向こうへ
「 ちょっとだけ、屋上見たい… 」
「 いいよ 」


