「 … 青山さん、寒くないの 」
「 灰谷 」
明け方
あずるの眠る
ベットの中へ潜り込む前に
一服をしに出て来た屋上
奥さんと子供は
実家にいると言う緑君と
ついさっきまで賑やかに
ドラム談議に花を咲かせていた
赤池さんと池上も
とうとう
明るい酒に酔い、寝入ってしまった
晩に、一雨来そうだった空は
まだ持ちこたえていて
まるでここが
船の上かと錯覚させる位に
水気を吹くんだ風は雲を運び
かなりの速さで進んで行く
「 ――… 何も 聞かないんだね 」
床に腰を降ろし
髪を風に煽られながら
灰谷が呟いた


