屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜





あずるは 少しだけ泣いて
久しぶりに、背中へおぶった



「 あずる
ビール、ひとつ持てるか 」


「 ん… 」




一階から
もう一度事務所に戻り
宣言通りに、ビールの配達




灰谷も両手に一本づつ持ち
階段に足をかけ、昇りかけた時


急にあずるが、体を傾ける




「 ―― どうした? 」




何処かをじっと見たまま 無言
けれど理由は、すぐにわかった