屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜







「 ――… あずる 」




落ち着き始めた呼吸
緩く見開いた碧


まだ熱い体を毛布に包んで
口移しで 水を飲ませる




一口飲み込むと 薄く 目を開いた




「 リュ…ジ……? 」


「 ん…? 」


「 わた…し…
へんに… なった…? 」




「 ――… 俺もなったよ 」


「 溶けるかと…思っ…
すご い…、びっくり…した… 」




「 あずる… 」


「 … はい 」


「 少しづつかもしれないけど…

――… 一生かけて
お前は俺が、幸せにするから… 」





あずるは


出会った頃と同じ


ラムネ色の瞳を 不思議そうに揺らしてから


情けなく呟く俺に 柔らかく笑った






「 リュウジ… 」


「 ――… どうした?…つらいか…? 」


「 わたし… 」


「 … うん 」


「 リュウジに出会えて…
とっくの昔から…幸せなんだよ…?」







――― 手を握り 抱きしめ合い
途切れる事の無い キスを交わす




暖かい部屋


愛する人の笑顔




俺達が ずっと望んでいたのは


たった これだけの事 ――――






「… もっと キスして…
リュ…ジ…―― 」