屋上海月 〜オクジョウクラゲ〜





"詳しい事"


"ミズタニの話"



屋上でのシーツの事を
梅川さんは知ってる


だが水族館で
背中に貼られたチラシの事は
灰谷しか知らない




"ミズタニ"かもしれないという
確証に近い憶測は

灰皿と一緒に降って来た
あの言葉があってこその連想だ


それは、あの場に居た人間しか知らない




だから梅川さんが
竹田さんに何か告げたのだとしても
すぐに結び付ける様な物は無い筈なのに




「 … 竹田さんて人、来るんだ 」


「 いい人だよ! 」


「 ――… じゃあ俺
先生迎えに行ったら、少し、家に戻るよ 」


「 どうした突然 」


「 … 突然って訳じゃないけど
俺、会った事ないし、部外者じゃん 」


「 昔の人だから
口調はべらんめえだけど
子供好きだし、優しいぞ 」


「 … へえ
真木さんみたいだね 」


「 恰好良い所と
怒ると、怖い所が似てるか 」


「 ――… 青山さん
真木さん怖いんだ 」


「 だからこうやってちゃんと
言う事聞いて、帰ってるだろ? 」



灰谷は苦笑し
あずるも両手で口元を押さえ
くすくすと笑った