「 少し、疲れたろ 」


「 ううん へいき

――… なんか
お家の近く来ると、ホッとするね 」


「 そうだな 」




ずっと 繋いでいて


もうどちらのものなのか
感覚がなくなっていた指を
そっと、握り返して来る手




"家"


"ホッとする"


その言葉が愛しくて
胸に抱き寄せ 髪を撫でた




―― そのまま耳元にキスをすると


すぐに体の力は抜けて
肩に、柔らかい髪と 頭の重み


次にはその先を待つ
弱い抗議と、甘えの混じった
潤んだ瞳を向けて来る




けれど
気付かないフリで ―――


煙草に火を着けると
途端にあずるは、シュンとしてしまって


あまりにもいじらしい表情の変化に
思わず笑い出してしまったが
すぐに頬と、唇にキスした




「 ――… ほんとにあずるは可愛いな 」


「 … ば…ばかにするなー 」


「 馬鹿にしてないだろ 」


「 すき? 」


「 ――― 愛してるよ 」




あずるの耳に
長い髪をかけながらそう言うと
首から一気に 顔が真っ赤に染まって行く


それがまた可愛くて
笑いながら、思いきり抱きしめた




コンビニのドアが開く音


「 梅川さん、飯食い終わったって 」


「 行こうか 」


「 は、はい!

――― あ 」




あずるの携帯に着信