ホテルのエントランス
秋晴れ
平日の午前中だというのに
重そうに鞄を抱えた、制服姿が多い
そういえば食堂での彼等も
テストを話題にしていた気がする
「 ―― 皆が思っているよりも
アズルンを取り巻く状況は
マンハッタンの頃に較べたら
格段に安定してるんだよ
… でなければ
屋上での暮らしに、許可が出る訳が無い
クウヤンも
それは一番わかってるんだ
ただ、自分がギター弾くと
色々な事が起こるって
ずっとひとりで、思い込んでたから…
後はやっぱり
自分の手からアズルンが離れちゃって
ちょっと淋しいんだ、きっと 」
ホテルを見上げる瞳
排気ガス
雑踏
巻き上がる 琥珀色の髪 ―――


