出会ったその日に恋に落ち
灰谷に告白した彼女とは
それ以降も度々、交流があった




高校三年

本当にやりたい事、決めるべき進路


様々な事に悩んでいた去年の夏
真木が偶然、新宿で出会い
海へと誘って、数日を過ごし


次に彼女は
怪我をした灰谷を心配して
真冬のマンハッタンまでやって来た




それから ―――


ドームでのクリスマスライヴには
灰谷希望の、白いセーターを届け


バレンタイン
春には彼女達の高校の卒業式


真木と松田さんが舵を取った
エクレシアと言う名の新事務所設立
そして灰谷の、大学合格

花見と様々な祝いを兼ねて
桜の花咲く隅田川、屋形船にも乗った




不規則な仕事の灰谷と
女子高生のユカちゃん


定期的に日にちを決めて
会っているわけではないらしいが

奴なりの精一杯で
彼女を大切に想い
行動していたと感じる




あずるもまた、そんな時間の中で
ユカちゃんや、その仲間達と知り合った



特に灰谷とは、ヴォーカリスト同士

そしてその 崇拝に近い愛情を理解して
事あるごとに、連絡を取り合っていた


だからこそ
灰谷の『何時もと違う何か』を
感じとっているのかもしれない




「 あずる、俺達も少し寝よう
灰谷には、起きたら話を聞けばいい 」




「 … 話す かな 」


「 あずるになら話すだろう? 」




けれどあずるは


加湿器のスイッチを入れながら
ゆっくりと首を、横に振る




「 … 男の人はね 大切なこと
なーんにも、話してくれないの 」