男のもっていた包丁が胸に突き刺さった瞬間、苦しくなって、いままでに経験したことのない痛みが全身を襲う。 「ねえ、サク。あんまり、喧嘩、しちゃだめ、だよ?わたし、手当してあげられない、から」 でも、これだけはいいたい。 お願いだから、もう無茶しないで。 もう孤独を感じないで。 孤独を感じて自分の顔や心を傷つけないで。 「サク、だいすき」 精一杯の、愛をこめて。 わたしは大好きな人の腕の中で生涯をとじた。