早速、買ってきた洋服を広げている夕璃。

コーヒーを淹れてきた光子が、
 
「ユーリ。散らかして。」と言うと
 
「ママ、どれが一番似合うかな。」

夕璃は次々と洋服を体に当てている。
 


「どれも可愛いよ、ユーリ。」

徹が愛おし気に言う。
 
「ママは、そのチェックのスカートが好きかな。」

光子も笑って答える。

夕璃の笑顔が嬉しくて。



夕璃をもっと喜ばせたい。
 
「来週は、それを着て食事だね。」

スカートを合わせている夕璃に徹が言う。
 


「来週も食事に行くの?」

夕璃は驚いた声で言う。
 
「うん。これから休みは毎週、食事に行こうね。」

穏やかに微笑んで徹が言う。
 

「本当?ヤッター。」

と夕璃は声を上げる。
 
「ユーリ、買い物は今日だけだよ。」

光子が言うと、
 

「うん。そんなに欲しい物ないから。いいよ。」

と夕璃は頷く。何かが欲しいわけではない。

家族で出かけることが嬉しいから。

豊富にお小遣いを貰っているから、

必要なものは一人でも買える。

だからこそ、両親と出かけて一緒に選んだものは特別だった。