ただ黙って寂しさに耐えていた夕璃。

中学生までは反抗もせずに。

たまに徹や光子が家にいると嬉しそうにはしゃいでいた。


いつも笑顔で。


「パパとママが、仕事頑張っているから、ユーリが良い学校に行けるんだもん。」

と意地らしいことを言っていた。
 

そんな夕璃に対する負い目から、徹も光子も夕璃と過ごす時間を減らしてしまう。

本当は知っていたから。

幼い夕璃が、どれほど寂しい思いをしていたか。


そして夕璃は誰のことも責めなかったから。
 


あの夜、夕璃が徹の胸を求めたから。

夕璃を抱きしめて、徹の心が動いたから。


まだ間に合う。夕璃から発信してくれたから。

夕璃のなかに期待が残っているから。


絶対に応えたい。

夕璃を最高に幸せな娘にする。