いつもは夕璃を送り出すと寝室に戻ってもう一度眠る光子。

徹が深夜に夕璃と会った翌朝。

夕璃を学校まで送る徹を、リビングで待っていた。
 


「待たせたね。」

控えめに微笑んで徹は光子の隣に座る。
 

「光子。今までの俺を許してくれるかな。」

少し俯いて言う徹。
 

「どうしたのよ、急に。昨夜から。」

戸惑ったように光子は言う。
 

「俺、夕璃だけじゃなく光子にも相当寂しい思いをさせたよね。本当にごめん。」

昨夜、夕璃を寝かせた後、ベッドに入っても徹は中々寝付けなかった。


自分が家族にした取り返しのつかないことに、身震いするほど反省していた。
 
あんなに求めた光子を手に入れて、光子は誠実に徹に付いて来たのに。

小さなこともすべて徹に従い、徹の思う通りの美しい女性になったのに。


そこで満足してしまった。

それ以上、光子を満たすことを止めてしまった。



ひどい夫だったと思う。