「でも、私のこと何も知らないでしょう。」

徹の告白が嬉しくないわけはない。

徹は裕福で行動力があって。

外見も素敵だから。


ただ不安なだけ。

光子はまだ自分の価値がわかってなかったから。
 


「こういう仕事をしていると、だいたいわかるんだ。人を見る目がないと成功しないから。君は情が厚くて努力家だ。慎重だし自分を安売りしない。」

徹の分析は当たっていた。
 

「少し当っていますね。」

光子の言葉に徹は声を出して笑い、
 
「少しじゃなくて、ずばりでしょう。」

と言う。そして、
 


「あわてなくていいから。ゆっくり俺を見て、慎重に判断してほしい。俺を信用できると思ったら、鍵を外してくれればいい。」

と言った。
 

光子が鍵を外すまで、長い時間はかからなかった。