店の面接を受けた翌日、

光子は身の回りの物だけを持って、徹のマンションに来た。
 

「ここが君の部屋だから。自由に使っていいよ。」

実業家として成功していた徹のマンションは広くて豪華で、光子を驚かせる。
 

「昨日も言ったけど、君に無理やり何かをするつもりはないから。」

小さなボストンバッグを部屋に置いた光子と向かい合い、徹は言う。
 


「よく聞いて。俺は君を誰にも渡したくない。このままずっと一緒にいてほしい。でも君は俺を信用できないだろう。君が俺を信じて付いて来たいと思うまで、ビジネスと思っていいから、ここにいてほしい。」

突然の徹の告白に光子は驚いて目を見開く。
 

「話しが出来過ぎていて信じられません。なにか裏があるんじゃないですか。」

光子の堅実な言葉は、徹には新鮮だった。
 


「店の給与と同じ金額。これは今月分。」

封筒を差し出す徹に、
 

「私の仕事は?私は何をすればよいのですか?」

封筒を受け取る前に光子は聞く。
 


「まず、俺と一緒にいること。今日は、これから買い物に行くから。用意して。」

そう言って徹は、光子に封筒を手渡す。
 
「これが部屋の鍵。安心できるまで鍵をかけておきなさい。」

光子は言われたとおり部屋に鍵をかけて徹と外出する。