「ユーリ。今日はどこへ行く?」

授業が終わって、帰り仕度をしている夕璃に奈緒が声をかける。
 
「どこでもいいよ。奈緒の行きたい所で。」

どうせ家に帰っても誰もいない。


高校生になった夕璃は、真っ直ぐ家に帰らなくなった。

小学校から通っている付属校。

夕璃のようにお小遣いには不自由しない友達。

余程のヘマをしなければ、大学まで引かれたレール。
 


「じゃあ、久々に赤レンガいこうか。」

横浜は、高校生が時間を潰す場所に事欠かない。
 
「いいね。パンケーキ食べようよ。」

夕璃も笑顔で頷く。
 

「赤レンガ行くの?私達も行く。」

夕璃と奈緒の会話を聞いていた美里と理恵が割込んでくる。
 
「うん。みんなで行こう。」

いつも4人で行動することが多い。

みんな裕福で、放任されていたから。