仕事柄、深夜に帰宅する徹。

朝、夕璃が目覚める時間に起きて、夕璃と戯れる。
 
「ユーリ。幼稚園は楽しい?」

夕璃を膝に抱いて、頬ずりしながら聞く徹。
 


「楽しいよ。ユーリ、お遊戯も工作も大好きだから。」

すべてを許されて育つ夕璃は、疑うことを知らなかった。

ただ穏やかに、おっとりと成長していく。
 

「そうか。パパにお遊戯をして見せて。」

徹の膝から滑り下りて、歌いながら踊る夕璃。

徹は優しい笑顔で見つめてくれる。
 


「パパ。ユーリのピアノ聞きたい?ユーリね、きらきら星弾けるよ。」

徹の喜ぶ顔が大好きで、夕璃は最大限のサービスをする。
 

「ユーリ。そろそろ時間だよ。バスが来るから、仕度してね。」

光子の声に、不満気な顔で徹を見る。
 
「ピアノは明日、聞くよ。パパが仕度を手伝ってあげるから。おいで。」

徹の優しい言葉に、夕璃は制服を手に徹の前に立つ。
 
「パパ。バスのところまでパパが送って。」

着替えを手伝う徹に夕璃が言うと、徹は微笑んで頷く。

二人を見つめている光子も、幸せそうな笑顔で。

このころはまだ。みんなが信じていた。

自分の幸せを。