当時30才を越えたばかりの徹は、実家の資産を利用して始めた商売が軌道に乗っていた。

誠実で人望があり、商才があった徹。

徹の経営する店は、どんどん増えていく。
 


光子にとって夢のような生活が始まった。

新居は徹の実家が所有していた洋館。

光子の母と妹には、毎月十分な生活費を与えてくれる徹。

毎日、綺麗な服を着て贅沢な買い物をして。

徹の帰りを待つ。
 


翌年、夕璃を出産した。

光子が幸せに輝いていた頃。

光子にそっくりな夕璃を徹は溺愛した。

一緒にいる時間が少ない分、夕璃の身のまわりを贅沢に整え、夕璃と過ごす時間は思い切り夕璃を甘やかす。

そんな徹を見ることが、光子は幸せだった。