河原に着く頃にはもう2人とも息が切れていて、木陰で休憩することにした。


「っはぁー、疲れたね!」

「な!……ふぅ、ここ涼しくてええな、綺麗やし」

「うん、ここ、私の秘密の場所!他の人には内緒だからね!」


にっと笑う日和ちゃん。

川に反射した光がちらちらとその白い肌を照らしていた。


「そや、日和ちゃん、なんであそこに?あそこ、人なんか滅多に来ぉへんのに」

「……うーん、ブラブラしてたらあそこに着いちゃってて」

「ほーん」


      * - - - - - - - - *


しばらく休憩をして、日和ちゃんも体力が戻ったみたいだ。


「よし!朝陽くんも、もう平気そうだね、遊ぼ!」


真っ白なワンピースの裾を持ち、熱くなっている石を気にする様子もなく、川にバシャバシャと入っていく。


「はぁ、気持ち良い!やっぱり夏は川だね!うんうん!ほら、朝陽くんもおいでよ」

「あ、うん!」


ズボンの裾を捲り、川に入る。

丁度よく冷たい川。気持ちいい。


「あっ、魚!」

「えっ、どこどこ!」

「ほらそっちそっち!」


僕のすぐ後ろを指さす日和ちゃん。

よし、いい所見せるぞ。


「任しとき、魚くらい1発で捕ったるわ!」

「おっ頼もしい!」


ぱちぱちと手を鳴らす音が聞こえた。

よし、いっちょやりますか!


      * - - - - - - - - *


「……む、無理しなくていいよ」

「ま、まだやれる……」


結果は惨敗。

魚に負けるなんて……。


「ま、私も捕れたことないから、ね?」


そうやって励まそうとしてくれる日和ちゃん。

覗き込みながらそう言ってくれるのでとても可愛い。
可愛いオブ可愛い。


「うし、大丈夫やで、ま、そういうこともあるからな、うんうん!」

「そうだよ!」


ふふ、と笑みをこぼす彼女に、こちらまで笑顔になれる。


「すごいなぁ、でも、今日出会ったなんて信じられないくらい楽しい」

「俺も!ひよりちゃんと出会えて幸せやわ!ふふ」


この時間が、ずっと続けばいいのに。

日はすぐに落ちてしまって、帰らなければいけなくなる。


「じゃあね、朝陽くん!」

「じゃあな、また明日会おうや!」