「そう、だから香帆は無理だと思って誘わなかったんだよ〜。香帆は要領いいし、どこの部活動でも上手くやって行けると思うよ。...じゃあ、私もう行かなきゃだから。一緒に帰れなくてごめんね、また明日」

私は香帆に手を振りながら、早急に教室を出た。

未だに項垂れている香帆を放っていくのは心苦しかったが、勧誘ポスターによると、今日の4時半から見学が始まるらしいので、もう教室を出なければ遅れそうだったのだ。

現在4時15分。

さぁ、極度の方向音痴である私は果たして残り15分で茶道室までたどり着けるのだろうか。

あらかじめ担任の先生に書いてもらった校内地図を握りしめて、私は歩き出した。