盲点だった。通学路はこうならないよう入学前から繰り返し歩いて体に覚えさせていたけど、そうだ、校舎内は練習してない。 15年間連れ添ってきたこの面倒な記憶能力をここに来てまさか忘却するとは...。 「あ〜...どうしよう...」 うだうだしている間に、気付けば先程まで騒がしいほどいた人の波は去ってしまったらしく、その場には私一人しかいなかった。