私達はようやく風の短剣がある洞窟に辿り着いた。


洞窟内は周りの壁自体が発光しているようで、とても明るかった。


こういう洞窟には、盗賊を警戒しての罠があったりするので、私は何も考えていないはずのアーガスに注意を促した。


「アーガス。くれぐれも周りに注意を払って進むのよ。
分かった?」


私の注意に対してアーガスは、自信満々な顔をして言ってきた。


「だーいじょうぶだって。俺がそんなマヌケに見えるか?
っと…。」


~ガコッ~


いきなりアーガスが前のめりにバランスを崩したから何かと思えば、アーガスが踏んだ床が凹んでいた…。


~ヒュッ~


風切り音と共に、アーガスに向かって左右の壁から矢が発射された。


パシッ


アーガスは矢が当たらない程度に後ろに避け、二つの矢が交わる瞬間に矢を掴んだよ…相変わらずな目の良さと、反射神経の高さね~。


「まったく、危ないなー。
リイム、気をつけろよ。」

「あんたがね!!」


いつも通りの漫才も終わり先へ進んで行くと、地下へ続く階段を見付けた。


おっかしいなぁ~。情報屋のおっちゃんの話では、獣人の巣窟らしいんだけど…ま、楽ならいっか~。


私達は螺旋状の階段をゆっくりと、地下一階へ下りていった。