「さあやんはお部屋をどんな感じにしたいの?」


「どんな感じっていうのはあんまりきまってないんだけど、取り敢えずカーテンとラグは欲しいかな。いや、でもやっぱり枕も布団も新調したい」



私がそういうと、しゅうくんがすかさずスマホにメモをし、フロアマップを見始めた。



「インテリアは3階の奥みたい」


「ねぇお腹空いたぁ」


「黄海くんを不機嫌にしておくのはまずい。神谷くん、先に昼食にしないか?」


「さーやちゃんはそれでいい?」


「うん。私の用事は後でいいよ」


「じゃあフードコート行くか」


「れっつらご~ご~!」



ってことで歩き出したのはいいんだけど、フードコートって何?


外食と言えばご近所の老舗蕎麦屋だったり、世界的に有名なシェフがいるレストランだったり、有名ホテルのディナーやランチビュッフェだった。


ショッピングモールに来るのも、ここで食べるのも初めてだ。



「もしかして朱鷺田さんはフードコートも初?」


「はい。さっきしゅうくんが言うまで名前さえ知りませんでした」


「ちょっと待ってぇ。しゅうぽんだけ名前で呼ばれてるのずるいぃ。僕のことも凜くんってよんでぇ」



そこ、気になっちゃったんだね。


ごめんね。



「じゃあ凜くん、フードコートまで案内して」


「まっかせとけぇ」


「黄海くんは方向音痴だからダメだ」


「うん。心配だからオレと茶樹先輩にちゃんと着いてきて」


「はぁい」


結局そっち側か。


頼りにされるよりしたい。


今日もそれを貫くようです。


凜くんにべったりくっつかれながら前へ前へ歩き出した。