あの日の青に、君だけがいない

本人には死んでも言ってやらないけど、柚はモテる顔なのだと思う。


特別顔立ちが整ってるわけでもないし身長も人並みだけど、笑った顔は人懐っこくて、案外優しい顔をしている。


けれど3年間、私は1度も柚に女っ気があるところを見たことがなかった。


だから問題があるのは性格だと、私は密かに思っている。


「………」


「柚?」


いつもならうるせぇだとか、飛んでくる暴言が聞こえないから、私は彼の名前を唇に乗せた。


いや、と柚が背中越しに笑う気配がした。


「りこのそれももう聞けなくなるなって」


「……?」


「卒業式の日に生徒会の後輩に告られた。そんで、付き合うことになった」


「………」