あの日の青に、君だけがいない

『もしもし、私だけど』


『なに、オレオレ詐欺?』


『…りこだけど!』


『分かってるよ……メール見た?』


『うん。今から行ける?』


『大丈夫』


『いつもの川縁でいいんだよね』


『遅れてくんなよ』


『そっちこそ』


耳元で聞こえる柚の笑い声が時間を巻き戻してくれるみたいだった。


どこかに忘れてしまったピースがぴったりと嵌るような。


虚空にきらめく水滴のような短い青さの中で、柚はいつだって私の隣にいたから、いつの間にかそれが当たり前になってしまっていたんだ。