「実は、私もプレゼントあるんですけど…」

こんな素敵なプレゼントを2つももらった後には出しにくいんだけど。

でも桃田さんに喜んでほしくて一人で選んだんだ。

私は鞄から水色の紙袋を取り出し、桃田さんに渡す。

「この紙袋って、俺がプレゼントしたブランドと同じじゃない」

桃田さんがくれたアクセサリーたちと同じブランドのお店で買ったのは、少しでも同じものを身につけていてほしいって思ったから。

紙袋から箱を取り出しリボンを外し、箱をあける桃田さん。

気に入ってもらえるといいんだけど。

「私、桃田さんみたいにお金ないし、センスも良くないから喜んでもらえるか自信ないです」

「何言ってるの?すごく嬉しいに決まってる」

いろいろ悩んで決めたのが、カフスボタンだった。

仕事中にこのカフスボタンを見て、少しでも私を思い出してくれたら嬉しいだなんて思って選んだ。

桃田さんは早速、プレゼントしたカフスボタンを付け替えている。

「華ちゃん、ありがとう。毎日つけるよ。これで仕事も更に頑張れそうだよ」

何でも持っている桃田さんが喜んでくれてすごく嬉しい。


私たちはレストランを出て、車には乗らずに街を歩く事にした。

自然に差し出された桃田さんの手を握り、クリスマスで恋人たちが多い街中を歩いている。

そして、大きなツリーの前で立ち止まる。

「綺麗ですね」

「今まではツリーを見て綺麗だと思う事もなかったけど、華ちゃんといるだけでこんなにも見え方が違うんだね」

そう言った桃田さんはツリーの前で私を抱きしめる。

「人に見られます」

「今日はクリスマスだから大丈夫でしょ。恋人たちがイチャイチャしても許されるよ」

それもそうかもしれない。
周りの恋人たちも肩を寄せ合っていたり、とても幸せそうだ。

「華ちゃん、幸せにするよ」

桃田さんの冷たい手が私の頬に触れる。

そして、真っ直ぐに私を見つめてくる。

私は瞳を閉じると、桃田の唇が私の唇に優しく触れた。