桃の華〜溺愛イケメン社長〜

きっと、この先もずっと桃田さんは仕事が忙しい人だと思う。

そんな桃田さんのそばで体調管理をして、少しでも桃田さんの役に立ちたいって思う。

ITや会社のことなんて全然わからない私が唯一出来ることだと思った。

「桃田さんは私が芸能人になった方が良かったですか?」

「冗談じゃない。俺だけの世界で閉じ込めておきたいくらいだよ」

そう言って、桃田さんは手を伸ばしてきて私の髪を耳にかける。

「カヤノには俺から断っておくよ」

「はい」

「それから、クリスマスの夜は空けておいてね。仕事が終わったら迎えにいくから」

え?
クリスマスは平日だし忙しくで会えないだろうなって思ってたのに。

「あ、会えるんですか?」

「当たり前でしょ。一緒に過ごす初めてのクリスマスだよ?お正月には一緒に初詣も行こうね」

仕事が忙しいのに、また無理をしてくれてるんだよね。

毎年、忙しくて同窓会も行かなかったくらいだもん。

でも、素直にすごく嬉しい。

門限の時間が近づき、桃田さんに送ってもらい家まで帰ってきた。

私はクリスマスもお正月も桃田さんに会えると思っただけで幸せだよ。


待ちに待ったクリスマスの日がやって来た。

1人で買いに行ったプレゼントの紙袋を眺めて桃田さんが迎えに来てくれるのを待っていた。

「こんにちは」

夕方になり桃田さんが迎えに来てくれて、急いで玄関まで出る。

「華ちゃん、待たせたね」

「い、いえ」

ブーツを履いていると、おばあちゃんも出てきて、桃田さんはおばあちゃんに挨拶をしている。

「華、今日はクリスマスだから門限は12時でいいわよ」

え?本当に?
いつもより2時間も長く桃田さんといられるんだ!

「おばあちゃん、ありがとう。行ってきます」

桃田さんと一緒に玄関を出て車に乗り込んだ。

「嬉しそうだね」

「だって2時間も長く居られると思うと嬉しくて」

「まるでシンデレラだね」