「おばあちゃん、桃田さんのニュース見た?」

「見たわよ。昨日の夜、律君が来ておばあちゃんに謝ってくれた」

え?桃田さん来たの?
セリナの家にいるときに着信があったけど、私は電話に出なかったんだ。

「もしも、私と桃田さんが別れたらおばあちゃんはどう思う?」

「華がそうしたいなら、おばあちゃんは何も言わないよ」

おばあちゃんは桃田さんの事を気に入ってくれていたから、反対されるかと思っていた。

「律君は優しくて、華の事も大切にしてくれるけど、プライベートがニュースになるような人だと、華が苦労しないか心配だしね」

そう言ってくれる、おばあちゃんにギュッと抱きついた。

おばあちゃんは何も言わず、私の背中をトントンとしてくれる。


「おばあちゃん、私シャワーして着替えてくるね」

昨日は制服のままセリナの家に行ってそのまま寝ちゃったから、シャワーして着替えてスッキリしよう。

洗面台の鏡で自分の顔を見ると、目蓋が腫れていて、目が真っ赤になってる。

顔も頑張ってしたお化粧はもう残っていない。

「おばあちゃん、お昼ごはん私がつくるね」

シャワーを出ておばあちゃんにそう言うと、お客さんが来ているのに気づいた。

「桃田さん」

私の声に桃田さんが振り返る。

「華、おばあちゃんお茶を切らしてしまったから買いにいってくるわね」

そう言って、おばあちゃんは出て行ったけど、気を利かせてくれたんだ。


「華ちゃん、ごめん。記事のこと説明させてほしい」

桃田さんの声を聞いただけで胸が締め付けられる。

だけど、いつもみたいに熱くならない。

私は桃田さんの前にテーブルを挟んで座り込んだ。

「その目…俺のせいだね」

私の顔を見て、何とも言えない表情でそう言ったら桃田さん。

目蓋が腫れたこんな顔見られたくなかったな。

「アヤミとは付き合ってないよ。俺には華ちゃんだけ。これだけは嘘じゃない」

やっぱり桃田さんは、二股なんてする人じゃなかった。

「でも…」

桃田さん言いにくそうに話を続けた。

「1年ほど前から華ちゃんに出会うまで、大人の関係だった」

それって、セフレとか言うやつだよね。

嘘だ…桃田さんはそんな人じゃないでしょ?