こんな事聞いていいのかわからないけど、少しでも桃田さんの事を知りたいって思う。

だけど、勢いで聞いてしまったけど、桃田が話したくないことなら無理に聞かないほうがいいよね。

「い、言いたくなかったら言わなくて大丈夫です!」

桃田さんは自分のことをあまり話したく無さそうだから、話したくなるまで待っていよう。

「俺が3歳のころに離婚したんだ。だから母親の記憶もほとんどない」

おばあちゃんからも桃田さんの祖父母の話は聞いたけど、ご両親の話は聞いたことがなかった。

「こんなこと誰かに話したの初めてだよ」

「ごめんなさい」

やっぱり誰にだって話しにくい事情もあるのに。
聞かなきゃ良かった。

「謝らなくていいんだよ。華ちゃんだけには何でも話してみたくなる」

「えっ?」

「話して、俺の全てを知ってもらいたくなる」

「わ、私も桃田さんのこともっと知りたいです」

そう言うと、本日2回目の桃田さんの腕の中に包まれる。

「好きだよ」

耳元で囁くように言われ、桃田さんの吐息が私の耳にかかる。

「わ、私も大好きです」

「俺の方が大好き」

胸がキュンってなる。

桃田さんのことを何でも知りたいと思うのは我儘なことだと思っていた。

だけど、好きだからこそ知りたくなるし、知ったらさらに大好きになってしまう。

私は本当に知るたびに桃田さんのことが大好きなっていくよ。

きっと、その気持ちは海より大きくて、空より高いものになってる。

「私も負けないくらい大好きです」

そう言うと、桃田さんの唇が私の耳にチュッと触れる。

そして、そのまま唇は首元に這うように移動していく。

もしかしたら、このままキスなんて事も…

「可愛いことばかり言って俺を煽ってるの?」

「え?」

体を離して、桃田さんにそう言われるけど、煽ってるって?

私何もしてないと思うんだけど。

「いや、俺は純粋な華ちゃんが好きだよ」


桃田さんの見えない壁みたいな物を1枚剥がせたような気がするよ。

こうやって、お互いのことをもっと知っていけたらいいな…。